空き家を所有している世帯はどのような住宅に居住しているのでしょうか?
国土交通省が公表した「令和6年空き家所有者実態調査」において、空き家を所有する世帯の約9割(「持ち家(一戸建)」約78%、「持ち家(共同住宅等)」約13%の計91%)がすでに自身の持ち家を確保して暮らしているという結果が示されました。このデータからは、日本の空き家問題の背景にある以下の4つの構造的要因と課題を考察できます。
また、相続した物件が空き家になる前に、未然に防ぐ方法には何があるのでしょうか?
調査結果:所有世帯が居住する住宅(N=1,381 千戸)
持ち家(一戸建):78.0%
持ち家(共同住宅等):12.5%
借家:9.6%
調査結果のポイント
1. 「住む場所」がすでにあるため、空き家の活用インセンティブが低い
所有者の9割以上がすでに安定した住居(特にその大半が持家一戸建)を確保しています。
- 自らその空き家に「移り住む」必要性がまったくありません。
- 経済的・生活基盤が現在の居住地で完結しているため、所有する空き家を「急いで売却・賃貸する」動機が生まれにくい状況にあります。
2. 二重の維持管理コスト(二拠点での負担)の発生
所有世帯が「一戸建の持ち家」に住みながら、別の空き家(実家など)を所有しているパターンが標準的であることを意味します。
- 自身が住む一戸建の維持費や固定資産税に加え、空き家の分の税金や管理費用もダブルで負担している世帯が多いと推測されます。
- 高齢化が進むなかで、この「二重の資産維持負担」が将来的に世帯の家計を圧迫するリスク(負動産化)を内包しています。
3. 「借家」居住者の所有はわずか1割(資産のミスマッチ)
現在「借家」に住んでいる空き家所有者は約10%にすぎません。
- 「実家を相続したが、自分は賃貸暮らしなのでラッキーだからそこに移り住もう」という幸福なマッチングは全体のごく一部です。
- 実際には、都市部の一戸建やマンションに住む現役・シニア世代が、地方や郊外にある親の家を相続などで引き継ぐ「資産の重複・ミスマッチ」が常態化しています。
4. 放置リスクを高める「心理的・物理的距離」
現在の住まいが「持ち家」として定着している人は、生活基盤を容易に動かせません。
- 相続した空き家が遠方にある場合、わざわざ遠出をして定期的に換気や草むしりをするのが物理的に難しくなります。
- 結果として、「管理不全空き家」や「特定空き家」へと劣化が進みやすい構造を生み出しています。
総括
この結果は、空き家が「住まいがない人に向けた二次流通資産」としてスムーズに機能していない日本の縮図を示しています。所有者が自身の住まいに困っていない以上、行政や民間による「早期売却・解体を促す税制上のペナルティ・インセンティブ」や、「手間のかからない一括管理・売却サービスの普及」がなければ、今後も空き家がそのまま放置され続ける可能性が高いと言えます。
親が亡くなった後からでも、空き家になるのを防ぐ対策
親が元気なうちに死亡後の相続の相談ができるケースは多くなく、事後でも実現可能な対策が必要とされています。
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