2025年に早期・希望退職を実施した企業

東京商工リサーチの調査によると、2025年度に早期・希望退職募集が判明した上場企業は46社、募集人数は2万781人に達しました。募集件数(社数)は減少したものの、業績が悪化していないにもかかわらず、将来の事業転換や中高年層の人員構成見直しを目的とした「黒字リストラ」が約7割を占めたことが大きな特徴です。 お役立ち情報

東京商工リサーチの集計によると、2025年に「早期・希望退職募集」を公表した上場企業は最終的に43社(前年57社)で、募集人数は1万7,875人(前年比78.5%増)に達しました。これは2012年(東日本大震災直後)の1万7,705人を超え、2009年以降で3番目の高水準となっています。

特徴的な点として、募集企業数自体は前年より約2割減少したものの、パナソニックHD(1万2,000人規模)や三菱電機(グループで約4,700人)といった大型募集が全体の人数を大きく押し上げました。また、業種別では電気機器(電機メーカー)が突出して多く、2025年1〜9月時点で15社と全体の4割強を占めています。

もう一つの特徴は「黒字リストラ」の広がりです。業績が黒字の企業でも将来を見据えた人員構成の是正として希望退職を実施するケースが約6割を占め、黒字企業22社のうち19社が東証プライム上場企業でした。

主な実施企業

電気機器(最多・15社超)

半導体不況やグローバル事業再編の影響で最も多い業種です。

  • パナソニックHD:国内1万2,000人規模
  • 三菱電機:グループ約4,700人
  • ジャパンディスプレイ:募集1,500人(応募1,483人+国外83人)
  • リコー:募集1,000人
  • 日本無線:応募431人
  • ウシオ電機:応募238人
  • SMK:応募118人
  • イリソ電子:応募35人
  • マブチモーター:応募23人
  • FDK:応募35人
  • オリジン:応募16人(半導体デバイス部門)
  • シリウスビジョン:応募12人

2025年1〜9月時点で電気機器は15社と、前年同期の11社から増加し全体の4割超(44.1%)を占めました。

化学
  • 三菱ケミカル:応募1,273人(満50歳以上)
  • 資生堂:応募257人
輸送用機器
  • マツダ:最大4回に分けて実施予定(500人規模)
  • ジヤトコ:40〜64歳の非管理職対象
食料品
  • ダイドー(ダイドードリンコ/ダイドービバレッジサービス):150人
  • ユーグレナ:応募58人
  • 明治HD:50歳以上・勤続15年以上の管理職・総合職
機械
  • JUKI:勤続年数等で細かく条件設定
  • 大洋テクノレックス:応募14人
  • 日本フイルコン:応募34人
医薬品
  • 協和キリン:応募432人
金融・保険
  • 第一生命:募集1,000人・応募1,830人
精密機器・情報通信
  • 日本光電工業:転職支援/ネクストキャリア支援の2プログラム
  • IMAGICA:応募94人(TVポストプロダクション事業)
  • 東北新社:40歳以上対象
  • コロプラ:26歳以上の正社員(管理職除く)
陸運・サービス業
  • 日本通運:応募480人
  • ベネッセ:35歳以上の一般社員対象、450人
  • 千趣会:千葉コールセンター全従業員(119人)
  • 総医研HD:応募35人
非鉄金属・金属製品
  • 東邦亜鉛:亜鉛精錬事業160人
  • 日本製罐:応募18人
繊維・その他製造
  • グンゼ:応募82人(アパレルカンパニー)
  • テクニスコ:満55歳以上
  • 日清紡HD:満45歳以上、560人程度
  • シナネンHD:グループ6社対象、130人

業種別の傾向

電気機器が突出:半導体・電子部品市況の悪化とグローバル再編が背景。大手(パナソニック、三菱電機)から中堅部品メーカー(SMK、イリソ電子、FDKなど)まで裾野が広い。

化学・医薬品は「黒字リストラ」の色が濃い:三菱ケミカルや協和キリンは業績自体は堅調ながら、年齢構成是正を目的とした募集が中心。

輸送用機器(自動車関連)は構造転換型:マツダ、ジヤトコなどはEV化・電動化を見据えた間接部門・非製造部門の人員最適化が特徴。

サービス業・情報通信は規模が小さめ:一社あたりの募集人数は100人前後にとどまるケースが多く、事業ポートフォリオの一部縮小(コールセンター閉鎖など)に伴うピンポイントな募集が目立つ。

まとめ

  1. 電機・製造業が中心:半導体不況や事業構造転換の影響で電機メーカーの募集が最多。パナソニックHD、三菱電機、三菱ケミカル、ジャパンディスプレイなど大手が名を連ねています。
  2. 年齢構成是正が主目的化:赤字による人員削減だけでなく、黒字企業が中高年層の年齢構成を見直す「黒字リストラ」が定着し、対象年齢は40〜50代以上に設定されるケースが大半です。
  3. 割増退職金の相場:企業により差はありますが、公表された特別損失額から逆算すると、1人あたり300万円台〜2,500万円程度まで幅があり、協和キリン(約2,176万円)や三菱ケミカル(約2,513万円)のように高水準の企業もあります。
  4. 今後の傾向:2026年に入っても三協立山など同様の動きが継続しており、ジョブ型人事制度の普及や物価高・賃上げ圧力を背景に、当面この流れは続くとみられます。

2025年の特徴は、業績が良好な企業ほど大規模な人員削減に踏み切る「黒字リストラ」が主流化した点です。

パナソニックHD、三菱電機、三菱ケミカル、協和キリンなど、いずれも直近決算は黒字ないし過去最高益でありながら実施しています。

背景として、①中長期の事業ポートフォリオ転換(不採算・非中核事業の整理)、②年功序列型組織における年齢構成の是正、③関税政策など海外経済の不透明感への先回り対応、の3点が共通して挙げられます。

特に電気機器・自動車関連は業界全体の構造転換(EV化・脱炭素・半導体再編)が背景にあり、今後も同様の動きが続くとみられます。

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